相続財産清算人(当時の相続財産管理人)による不動産処分事例

案件の背景: 相続人のいない亡くなった方の財産処分案件。

  • 対象物件: マンション一室。室内には多くの残置物が残されていた。
  • 発生する問題:
    • 固定資産税マンション管理費の支払いが滞る。
    • 財産(資産)だけでなく、負債(債務)を引き継ぐ人がいなくなる
  • 対応体制: 裁判所に申し立てが行われ、裁判所が**弁護士を「相続財産清算人」(旧:相続財産管理人)**として選任。

相続財産清算人の役割と手続き

相続財産清算人(弁護士)は、亡くなった方の財産を管理・処分し、以下の手続きを経て最終的に国庫へ帰属させるのが役割です。

  1. 情報整理: 財産・債務に関する情報を整理する。
  2. 財産処分: 財産を一つずつ処分し、すべて金銭に換える。
  3. 債務の清算: 債権者への弁済や費用を支払い清算する。
  4. 国庫帰属: 最終的に残った財産を国庫に納める。

本事例における業務支援内容

筆者は、相続財産清算人である弁護士の依頼を受け、以下の業務をサポートしました。

  1. 残置物の処分のサポート。
  2. 管理会社との管理費の清算手続き。
  3. 自治体の税事務所との固定資産税の清算手続き。
  4. マンションの売却サポート。

不動産売却における特殊な課題

売主が実質的に不在である「相続財産清算人」による売却では、一般の売買にはない特殊な課題が生じます。

契約不適合責任 (旧:瑕疵担保責任) 売主が個人ではなく清算人であるため、引き渡し後の売主の責任範囲(瑕疵責任)は実質的に免責せざるを得ない。
物件状況のヒアリング 売主が亡くなっているため、死因の開示はされない。また、部屋が事故物件(心理的瑕疵)であるかなど、本来売主から確認すべき重要事項のヒアリングが不可能。

結論:不動産事業者(業者)買取が主な選択肢

上記のようなリスクや情報不足の課題があるため、相続財産清算人による物件売却は、一般の個人客への売却が難しく、不動産事業者がリスクを承知の上で買い取るケースがほとんどとなります。

  • 本事例の流れ: 不動産事業者が物件を購入。筆者は、その事業者がリフォーム後に一般顧客へ転売(再販)するまでの仲介も担当しました。
  • 最初の売買への貢献: 裁判所へ提出する価格査定書調査資料等の作成・整理を担当しました。

(2019年の事例)