借地権の地主様による買取り

事例の概要:借地権付き建物の処分と地主による買取り
相談者(借地人)の状況: 高齢の女性。借地権付き建物の1階で商売、2階に居住していたが、廃業し、配偶者を亡くし、自身の体調不良(足の不調)により建物を処分し、賃貸物件への引っ越しを希望していた。

当初の認識: 相談者は、建物を壊して更地にして地主に返さなければならないと考えていた。

専門家(筆者)の助言: 借地権には財産的価値があり、地主の承諾があれば第三者への売却が可能であることを伝えた。

■交渉と手続きのプロセス
地主への交渉開始: 普段の借地更新を担当している不動産会社の許可を得て、地主に直接交渉。

地主の意向: 地主は、第三者への売却を拒否し、「更地にして返してほしい」と要求。その代わりに、借地権の対価として一定金額を支払うことを提案した。

法的形式と合意:

実質的には借地権の売買(建物は更地にするが、土地の賃借権という権利の売買)。

地主が高齢で「普段のやり方」に固執したため、売買契約ではなく「合意書」という形式を採用。

合意書には、更地にして返却する代わりに、地主から借地人へ借地権対価が支払われる旨を明記。

筆者の役割と報酬:

地主が仲介を嫌がったため、借地人から不動産コンサルティング費用を受領。

付随業務として、借地人の引っ越し先の賃貸物件探しもサポートし、一連の手続きを完了。

■借地権買取りの価格決定に関する補足
地主が借地権を買い戻す(買取り、または借地契約の合意解約)場合、価格決定の原則は以下の通りです。

話し合いによる合意:

地主と借地人が自由に話し合いで金額を決定し、合意に至ればその金額で成立する。

調停・裁判に進んだ場合:

裁判所(調停・非訟)が金額を提示する場合、権利金や一時金が過去に地主に支払われていないことを理由に、裁判所が提示する借地権価格が低くなる傾向がある。

これは、裁判所が借地権の経済的価値を評価する際、過去の金銭授受の有無を考慮するためです。

■教訓
借地に関する問題は法的に複雑な側面を持ちますが、いたずらに紛争化させるのではなく、当事者間の合意形成を重視し、ある程度のところで妥協して円満に解決を図ることが重要な場合が多いです。

(2019年の事例)